
「透けるトイレ」が登場し、国内外で
報道されるなど、人々の注目を集めています。
このトイレの建物は全面ガラス張りで、
誰も使っていないときは外から個室の中が
丸見えなのです。
でも、中に入って鍵をかけると一瞬で、
「透明なガラス」が「くもりガラス」に
変化して、使用中のプライバシーが守られます。
まるでマジックみたいで、
「渋谷に行ったら立ち寄りたい観光スポット」の
新名所になりそうです。
この不思議なガラスが、一体どんなしくみに
なっているのか、気になりませんか?
種明かしをすると、スケルトントイレの壁に
使われているのは普通のガラスではなく、
特殊な液晶シートが挟み込まれた
「瞬間調光ガラス」というものです。
電気が通っているときだけ液晶シートが
透明になるので、トイレの使用中に
たまたま停電になったとしても
中が丸見えになる心配はありません!
「一瞬で見た目が変わるガラス」なんて
まるで未来の技術みたいですが、
なんと30年も前から、電車の窓で
実用化されていたそうです。
目次
「透明トイレ」は電気で調光できるガラスを採用!停電の時は…?

渋谷の公園に現れたガラス張りのおしゃれな建物。
――その正体はなんと「公共トイレ」でした!
プライバシーが大事なトイレの壁が
ガラスで透け透けなんて、何ともびっくり仰天の
アイデアです。
しかし中に入って鍵をしめると、
不思議なことに、透明だったガラスが
一瞬でくもって、外から見えなくなる
仕掛けになっています。
まるでマジックみたいで面白いですね。
私がもし実際に使うとなったら、
何度も出入りして切り替わりの瞬間を
確かめたくなってしまいます。
◯「瞬間調光ガラス」は電気でカプセルの並びを変化させて透明度を変えられる
ここで壁材として使われているのは
「瞬間調光ガラス」や「瞬間くもりガラス」と
呼ばれる特殊なガラス。
瞬間調光ガラスは、2枚のガラスの間に
「特殊ポリマーとカプセルが入った液晶シート」を
挟んだ構造になっています。
真ん中の液晶シートにかかる電圧を
コントロールすることで、
透明度を変化させることができるのです。
液晶シートの内部は、イメージでいうと
「透明のゼリー(=特殊ポリマー)の中に
小さい粒々(=カプセル)がびっしり
混ざっている」ような状態です。
電気が通っていないときは、ポリマーの中で
カプセルが不規則に漂っています。
カプセルがバラバラに並んでいると、
外から入ってきた光が拡散されて
「明るいくもりガラス」のように見えます。
しかし、ここに電圧をかけると
カプセルが整然と並び出し、光が真っ直ぐに透過する
スペースが出来るので、透明な見た目に変化するのです。
電源のONとOFFの切り替えの
反応速度はなんと約0.0045秒!
名前の通り「瞬間調光」が可能となっています。
◯停電でも個室の中が丸見えになる心配は無用!
ですから、
「スケルトントイレを使っているときに、 たまたま停電になって壁が透明になったらどうしよう…」
とか、
「ガラスの調整機能が故障したら、 恥ずかしい姿が外から丸見えになってしまうのでは…?」
という心配はいりません!
「電気の力で強制的にカプセルを並ばせて透明にしている」
ので、停電のときは、使用中かどうかにかかわらず
全ての壁が「くもりガラス」になります。
この理屈がわかっていると、余計な心配をせずに
安心してスケルトントイレを利用できますね。
「透明トイレ」と同じしくみが他にも!電車と自動車2例ご紹介!

実はスケルトントイレと同じしくみが、
兵庫県神戸市の「六甲ライナー」の車両窓にも
使われています。
「六甲ライナー」は、神戸市の住吉駅と六甲アイランドを
結ぶ電車で、無人運転路線としても知られています。
ほとんどの区間では窓ガラスは透明の状態ですが、
住宅地など一部区間を通るときだけ
「くもりガラス」にして窓の外を見えなくしています。
これにより、車内からの景観を確保しつつ
近隣住民のプライバシーを守っているそうです。
電気のONとOFFだけで切り替えられるのは
本当に便利ですね!
この技術は1990年の開業時から採用されてきたそうで、
なんと30年前から使われていたことになります。
最先端の技術かと思っていたら、
そんなに昔からあったのかー!と
びっくりしてしまいました。
◯最近では自動車にも利用されている
このほか最近では、自動車にも
このガラスが取り入れられつつあります。
たとえばトヨタの「レクサス」には、
日本板硝子の瞬間調光ガラス
「UMUスマートウィンドウ」が
室内パーティションとして採用されました。
同じくトヨタの新型「ハリアー」では
調光パノラマルーフとして使われて、
車内のボタンで操作できるようになっています。
「調光パノラマルーフ ハリアー」などの
キーワードでYouTubeを検索すると、
その切り替わりの様子を動画で見られます。
でも、せっかくなら販売店まで行って
直接体験してみたいですよね。
私の場合、完全に冷やかし客になってしまいますが…。
まとめ

使うことによってユニークな外観を実現していました。
このガラスは電車や自動車など広い分野で
採用されはじめています。
電気のONとOFFの切り替えのみで
「くもり」と「透明」を切り替えられる利便性から、
これからますます色んな場所で使われるように
なることでしょう。
こんなワクワクする技術が
日常で見られる風景の一部になりつつあるなんて、
SFの未来の世界にいるみたいで楽しいですね!