サイズ感や距離が近しい位置になる惑星・火星。
地上から肉眼でみても赤い輝きがとても美しい星ですよね。
この火星、今では赤さびを大量に含む乾燥した惑星ですが、
太古の昔は、大量の水に覆われた豊かな星だったことが
最近の研究でわかってきました。
では、今の様に水がなくなった理由とはなんでしょうか。
NASAを始めとした世界各国の研究チームの見解によると、
『多くの水は宇宙空間に逃げ、残ったものの大多数は
今も火星の地下で永久凍土として残っているのではないか』
と唱えられています。
ではどのようにして水が宇宙空間に
逃げていってしまったのでしょうか。
これらがなくなった理由をわかりやすく解説します。
目次
火星から水がなくなった原因は砂嵐ってホント?NASAの見解は?
以前から、『太古の火星には水が存在していた』と考えられてきました。
それは、地表に水が流れた跡や、
水によって浸食されたような地形が残っているためです。
しかし今はその姿は確認できず、
大半の水は失われてしまったと考えられています。
水が失われた理由としては、
・火星の重力が小さかったため、宇宙空間に逃げてしまった
とJAXAのホームページ内で記されています。
(参考: https://spaceinfo.jaxa.jp/ja/mars.html)
もう少し詳しく説明すると、
大気中の水蒸気が太陽光によって酸素分子と水素分子に分解。
軽くなって宇宙空間に飛んでいってしまった…ということです。
これは科学情報誌サイエンスにも概要が掲載されています。
(参考: https://science.sciencemag.org/content/367/6475/297)
しかし、最近になってNASAの火星周回探査機MAVENが
収集したデータの解析が進み、新たな説が浮上しました。
それは『火星で発生する砂嵐が、
星からさらに水を奪う要因を作っている』という説です。
火星では砂嵐が発生すると気温が上昇。
それによって大量の水蒸気が発生し、
嵐の風も相まって水蒸気を空高く上昇させます。
舞い上げられた水蒸気は、
本来これを通さないはずの空気の層を突破。
その中で、イオンの作用や太陽光により
水素原子と酸素原子に分解されているというのです。
この時の分解速度は、冷たい空気の下層で
分解されるより10倍速いと計算されたのです。
実際、火星全体規模で起こった砂嵐の際は、
1年間かけて失われるはずだった水が、
たった45日間で宇宙空間に逃げた
という観測データも残されています。
しかもこの1年間というのは火星においての1年間であり、
地球に置き換えると、なんと687日相当にも渡るというのです。
この現象からも、ただでさえ少ない火星から
今後さらに水が失われていくことが予想されますね。
いつから火星は水の星ではなくなったのか?続報が待たれる!
前述の通り、太古の火星は熱い大気と大量の液体の水に覆われた豊かな惑星でした。
つまり、現在の火星の様に頻繁に大規模な砂嵐が
発生していたとは考えにくいのも事実です。
このため、NASAを始めとする各国の化学者たちは
『この現象が太古の火星にどのように作用していたのか』
『そもそもいつから始まった現象なのか』
を突き止める研究が進んでいます。
火星は探査機を始め、様々な観測方法で
急速に研究が進んでいる惑星です。
続報が楽しみになるニュースですね!
まとめ
火星に水が存在した!という話は多くの人がご存じかと思います。
それなのに、ニュースで取り上げられる火星探査の
映像で見る火星は、カラッカラの乾いた大地で
ゴツゴツの岩だらけです。
惑星をはじめとする星々は、
私たち人間で考えると途方もない長い期間を
存在しているわけです。
今回表記した『太古の火星』は今から約10億年前を指します。
激動の宇宙空間に存在するわけなので、
10億年もあれば何があっても不思議ではないですよね(笑)
現在の火星は、元来持っていた水の約80%を失っている
というデータもあります。
大気中の水蒸気も今回ご紹介した現象で失われるなら、
残りは地中深くの永久凍土だけになってしまう未来が
いつか訪れるかもしれませんね。