あぜ道などに緋赤の花が
揺れているのを見たことがあると
思います。
そう、“彼岸花”です。
別名 曼殊沙華・リコリス と言います。
葉をつけない不思議な姿ですけど、
群生して咲く花は綺麗で不思議な
雰囲気ですよね。
彼岸花って観察していると
「去年も同じ場所に咲いていたな」
って思ったことありませんか?
実は彼岸花は
種で増えていく植物ではなく、
球根を元に増えていく植物
なのです。
植わった球根が土の中で増える
『分球』を繰り返して増えていく
種類のため、突然離れた場所に
花を咲かせることはありません。
それでは詳しく解説していきますね!
目次
なるほど!葉をつけない彼岸花の特徴的な生体とは!?
彼岸花は養分を蓄えた球根を元に育ち、
花を咲かせて増えていきます。
秋の彼岸ごろになると、
彼岸花は突然地面から花茎を
伸ばし、あっという間に花を
咲かせます。
彼岸花の開花の適温は
20~25℃くらいとされていて、
ちょうど夏の暑さもひと段落して
秋の虫が鳴き始めるころですね。
この頃が“彼岸”にあたるため
花の名前の由来になりました。
とはいっても、
開花時期はその年の気候によって
大きく左右されるため、
必ずしも『彼岸に咲く』
というわけではありません。
花が終わると、
次は葉を伸ばし始めます。
気温が下がり、
他の雑草などが枯れるころになると、
彼岸花は葉をしっかりと茂らせ、
次の初夏まで
日光をサンサンと浴びながら
土の中の養分をしっかり蓄えて
球根を肥大させ、繁殖を続けます。
親球(元になった球根)に
くっついているような形で
子球ができるため、
毎年同じような場所に花を咲かせ、
仲間を増やしていくのです。
そして冬から春を越え、
日差しが強くなってくる
初夏になると葉を枯らし、
球根は地下で暑さをしのぎながら
涼しくなる秋の彼岸ごろまでの
短い期間、眠りにつくのです。
彼岸花の英名は
『マジックリリー』といい、
直訳すると『魔法の百合』。
これは彼岸花の大きな特徴である
“葉見ず花見ず”と言われる、
『花と葉が全く違う時期に
姿を見せる』不思議な生体を
現しているとされています。
葉をつける季節と言い、確かに
“花”のライフサイクルとしては
特徴的ですよね。
咲く場所には傾向が!?彼岸花の意外な作用とは!?
田舎育ちの筆者にとって、彼岸花が咲いている場所の
イメージと言えば
『田畑のあぜ道』なのですが、
これには彼岸花の持つ毒性に
関係しています。
彼岸花には
アルカロイド毒があり、
この毒を嫌ってミミズなどの
地中の虫が近寄らなくなります。
また、その虫らを餌とする
モグラやネズミも
近寄ってこなくなるため、
結果的に田畑を守ってくれます。
ちなみに彼岸花の球根1つに
15㎎のリコリンが含まれています。
これはネズミ1500匹分の
致死量に相当する毒となります。
また、
彼岸花が増えることによって
根が張り、地固めもできます。
前述したとおり、彼岸花は
球根を元に増えていきますが
その過程で人の手を必要とせず、
勝手に増えていきます。
彼岸花は手間をかけずに作られる
天然の防壁だったのです。
まとめ
彼岸花ってどうしてもあの特徴的な花の印象が強いので
葉っぱのことなんて
考えたことのなかった
筆者です。(笑)
普通、寒い時期になると
雑草などは枯れてしまいますよね。
でも彼岸花は逆で、
冬に葉をつけてライバルの
背が高い雑草が居ない中
たっぷりと日差しを浴びるそう。
そう考えると賢い植物なのかも
しれませんね。
しかしあまりに寒い地域や
積雪が多い地域では葉を成せない
ようで春先に葉をつける種類も
存在しているそうです。
ますます賢い…。
彼岸花は
もともと日本固有の花ではなく、
中国大陸から渡ってきたようです。
いつどこから渡来したのかは
不明ですし、タンポポのように
種を飛ばして増える種類では
ないため、
広い地域に繁殖するには
人の手が入ったはずですが
その経緯もわからない
不思議な花なのです。